数十年前のあの日は何故か揺れる前に目が覚めて夜明け前の暗闇は静かだった。
多分、先に軽く揺れたから目が覚めたのに気づいてなかった、上半身を起こした状態でしばらく部屋と窓と隣でグーグーいびきをかいて寝てる弟を見回してたら
ドン!!!
下から体も布団も部屋も空気も全てが突き上げられた。
その後ガタガタ揺れるんじゃなく、ババババ!ドドドドド!!!上下左右に激しく揺れた!!!全体が激しくぐねぐね波打つ感じだった。
咄嗟に部屋の一番背の高い本棚を押さえてた、タンスの引出しも少しずつ前にでて、もちろん本も数冊落ちた。リビングではガッシャンガッシャン、パリンパリン、和室でオカンがキャーキャー。外は薄赤い感じに変わっててドドドドとキャーキャー聞こえて不安と恐怖しかなかった。
長い激しい揺れの中で『揺れ止まってくれ!窓ガラス割れるな、タンス倒れるな!家折れるな!天井落ちるな!』と願いながら本棚を押さえるのが僕にできる事だった。
やっと揺れもおさまってオヤジの「みんな、大丈夫か?」に本棚に手をついたまま返事して足元を見た...
布団の上に数冊の本が乗ってるものの地震前と変わらない体勢でグーグーいびきをかいて寝てる弟が目に入って助かったんやって実感した。